
2024-02-02
インタビュー
本気でやりきる起業家を近くで見られるエンジェル投資が最高に楽しい
エンジェル投資家 橋田一秀さん
Startup Next編集部がお届けする、今をときめく!投資家インタビュー。志を持って活動される投資家のみなさんのバックグラウンドや考え方に、一歩踏み込んでご紹介しています。今回はエンジェル投資家の橋田一秀さんにお話を聞きました。
橋田一秀
1983年東京都生まれ。2007年東京理科大学工学部電気工学科卒業後、株式会社NTTデータに就職、その後株式会社うるるにてエンジニアとして勤務後、2014年株式会社ホットスタートアップ(現:株式会社ペライチ)を創業。代表取締役に就任。2023年4月全役職を退任。同時にスタートアップを支援する組織、株式会社BOOTを設立。
エンジェル投資家としては2022年から投資活動を開始し、2024年1月現在70件ほど実行。※役職や肩書きは記事公開時点のものです。
投資条件や投資実績がわかる!橋田一秀さんの投資家プロフィールはこちら👇(顔写真をクリックするとプロフィールを閲覧できます。)
まずは、橋田さんについて教えてください。
スタートアップを支援する株式会社BOOT代表で、エンジェル投資家の橋田です。
新卒で株式会社NTTデータに就職し、その後株式会社うるるにてエンジニアとして勤務した後、2014年に株式会社ホットスタートアップ(現:株式会社ペライチ)を創業しました。
ペライチでは、誰でも簡単にウェブサイトを作れるサービスから始め、個人事業主や中小企業の方に向け、ホームページやフォーム、決済、予約、メルマガ等、ビジネスに必要な機能が低価格で使えるオールインワンサービスを提供していました。
9年間ペライチの代表を務め、2023年4月に全役職を退任したと同時に株式会社BOOTを設立しました。ペライチ代表の時から定期的に起業家の相談に乗っていたので、新しい事業の立ち上げを応援したいという気持ちから「BOOT」と名付けています。
エンジェル投資家としては2022年から投資活動を開始し、2024年1月現在、70件ほど実行しています。
2年足らずで70件!凄まじいペースですが、橋田さんがエンジェル投資を始めたきっかけは何ですか?
エンジェル投資を始めるに至った経緯をお話ししますね。
ペライチ代表時、6名のエンジェル投資家の方々に本当にお世話になったんです。エンジニアから起業したこともあり「こういうものが世の中にあったら良いよね」というプロダクトドリブンな起業だったので、起業経験者であるエンジェル投資家の多面的なアドバイスにとても助けられました。
特に最初にご出資いただいた株式会社nanapiの和田修一さんは、エンジニア起業家の先輩でもありました。出資前から相談に乗ってもらっていましたし、共同創業者になってほしい人を和田さんの前に連れて行ったら「やるんだったら早く入ったほうがいいよ」と背中を押してくださり、「和田さんがそう言うなら!」と創業メンバーが心を決めてくれたりもしました。
投資後は月1で壁打ちしてもらい、リードVCは別にいましたが、和田さん自らの起業経験に基づいたアドバイスはVCと異なる観点で大変勉強になりました。例えば「資金調達後にオフィスを構えたほうがいい。カルチャー醸成がしやすいから」とアドバイスを受けてオフィスを構えましたが、振り返ってみると「あの時にオフィスを構えて本当に良かった」と思います。
あと、この話は受け手によって感じ方が様々あると思いますが、エンジェル投資家から一時的にお金を借りたこともあります。資金調達の目処は立っているが万が一のために、というパターンしかありませんでしたがVCにお金を借りることはほぼ不可能なので、素直にありがたかったですね。
そんな背景から、ペライチを退いたら今度はスタートアップを支援する側に回ろうと決めていました。実際、退任を決めてから退任するまで1年ほど期間があったのですが、その間も週1ペースで平日の夜22時くらいからの時間を使って起業家の相談に乗っていましたね。もちろん無償ですが、起業・経営経験を活かせるし自分自身の勉強にもなるし、何より応援している企業が成長していく過程を見るのがめちゃくちゃ好きで、純粋に楽しかったです。
そんな中、ペライチで一緒に働いていたメンバーが起業することになったので、全力で力になりたいと思って出資しました。これが初めてのエンジェル投資です。その後、立て続けに8名に、少額ですが出資をしています。起業家の相談に乗ったり壁打ち相手になったり、それまでしていたこととやること自体は変わりませんが、やはり出資をする以上より具体的で密なコミュニケーションになった気はします。
現在はどんなところに投資していて、投資先とはどんな関係ですか?
ステージとしては、プレシードからプレシリーズAくらいの会社を中心に投資しています。特に創業前やプレシードの方の調達の相談に乗ることも最近は多いです。割合でいうと、シード・アーリー(プレシリーズAより前)が8割、シリーズA以降が2割くらいでしょうか。
領域はtoBが4割、SMB含むtoCが6割で、その内の海外比率は2.5割程度です。避けている領域はほとんどありませんが、Deep techなどあまりにわからない領域には今のところ出資していません。逆に、SaaS・スモールビジネス系・ツール系は自分の解像度が高い領域で、明確に役に立てるイメージが沸くため出資しやすいです。
投資方針ですが、まず基本はシードアーリーの会社(バリュエーションの目線5億以下)に投資をします。一方で例外としてバリュエーション20億円以上の投資実績も数件あります。
投資額は一社あたり100万〜500万円が中心です。実績としては、中央値が300万円、一社あたりの最大値は1,500万円です。金額的にリードはほぼやらないので、いわゆるエンジェルラウンドの時は条件を相談していただいています。アップラウンドでの追加投資も積極的にしていますね。
投資先との関わり方ですが、基本はハンズイフで頼まれた時に助けるスタイルです。ペライチの立ち上げからシリーズCまで、代表を務めた経験から諸々アドバイスしています。相談はいつでも、オンラインでもオフラインでも、起業家の希望に合わせています。

(画像:支援先のコミュニティ作りに、自ら肉を焼く橋田さん)
相談に乗る以外にも投資先コミュニティで知見を共有したり、投資先の合同ピッチ練習会を開催したり、勉強会を実施したりしています。他には、月3-4回ほどランチ枠を設けて投資先とランチしたり、VCやエンジェル投資家やエキスパートの紹介をしたりと、スタートアップのためになりそうと思ったことを全方位、全力で実施しています!自分自身もとても楽しく、今、めちゃくちゃ熱量高くエンジェル投資をしています!
魅力を感じる事業や起業家はどのような人ですか?
まず大前提として、創業者のユーザーに対する解像度が高いことはマストです。ユーザーだけでなく複数のステークホルダーがいる場合は、それぞれの登場人物の解像度が高いと良いですね。
そこまでやる!?と驚くレベルで解像度を上げるためにアクションできる人には強く魅力を感じます。例えば、会社員として働く中で起業を志すことを決めた後、その業界のある会社の社長の鞄持ちをしたり、その業界の商社でバイトとして働いたりと、解像度を上げるためにとにかく現場に入りまくった起業家がいました。ここまでできる熱意と行動力には圧倒されますし、本気が伝わりますよね。
他に魅力に感じる特徴としては、視座が高いこと、諦めず粘り強いこと、夢中になっていることのいずれかは欲しい要素です。とにかく熱量高く事業に取り組んでいる人かどうかは重視しています。他には、チャンスを掴み取れる瞬発力、一方で長く続けられる体力含めた持久力、ルールもレールも関係なく何でもいいから結果を出す!みたいな「野武士」っぽさなど、複数の要因を見て決めています。
能力で言えば「PDCA力」を見ています。顧客にめっちゃくちゃ会ってひたすら仮説を検証できる、行動量が多い人には魅力を感じますね。こういう方は大抵その領域にめちゃくちゃ詳しいですし、何を質問しても明確で的確な答えが返ってきます。
PDCA力の延長ですが、変化率の高い人も魅力に感じます。「この前話した時から随分と試行錯誤を重ねたんだな」とわかると、その努力を想像して素直に素晴らしいなと思います。また、自分の意見を押し付けないと決めてはいるものの、以前自分がお伝えしたことを何かの形で活かしてもらえたことがわかると、より支援に身が入りますよね。
今後の展望とスタートアップ起業家へのメッセージをお願いします!
今後もどんどん投資していきたいです!というのも、日本のスタートアップエコシステムの一つの大きな課題は「エンジェル投資が少ないこと」だと思ってるんですよね。
エンジェル投資家はVCに比べて投資基準が多様です。その多様性が、スタートアップエコシステムにおいてはめちゃくちゃ重要だと思っています。何が伸びるか誰もわからない、ビジネスという正解がない世界で、あらゆる可能性の芽を育てるためにはもっとエンジェル投資が増えるべきです。その中でまずは自分ができる限りのエンジェル投資をしていこうと思っています。
また、エンジェル投資という形ではない起業家支援もどんどんやっていきます!その1つが、2024年春に渋谷駅徒歩5分の場所にオープンするスタートアップのためのコミュニティスペース「SHIBUYA STARTUP OASIS」です。
僕が10年前スタートアップやろうと決意できたのは周囲の環境が大きく、起業している人や起業しようとしてる人が周りに多ければ多いほど後押しされると思っているので、スタートアップの人たちが無料で利用でき、渋谷に来た時にフラッと寄って自然な形で交流できる場にしていきます。会議室やミーティングスペースも用意しているので、昼間はカフェのような感じで使っていただき、夜は毎日イベントが行われるようなイメージです。起業家と支援側の皆様との出会いをたくさん作れればと考えています。

起業家には「とにかくやりきろうぜ!」と伝えたいです。ユーザーや登場人物にめちゃくちゃ詳しくなろう!正解なんて誰もわからないんだから、とにかくPDCAを高速で回そう!と言いたいです。
やりきったら、必ず良い事業が創れます。
その事業をきっかけに、誰かの人生が変わるかもしれない。「おかげで起業できました」「おかげで売り上げが立ちました」なんていう声が聞けるかもしれない。「目の前の人を喜ばせる」のは商売の基本ですが、これこそがビジネスをやる者として最高の喜びなんじゃないでしょうか。私は、最高に嬉しかったです。
引き続き本気でスタートアップ支援をやっていきますので、本気でやりきる覚悟のある方はぜひご連絡ください。お待ちしています。
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